水回りリフォームで位置変更・拡張できるの?

仕様

いざ水回りリフォームをするとなると、
「位置変更できるの?」
「大きくしたいけど、この壁は取れるの?」
と、よくわからない方も多いのではないでしょうか?

今回は、某大手リフォームメーカーで全国1位の実績を持つ元エリアマネージャーが、水回りリフォームの位置変更・拡張についてわかりやすく解説していきます。
少しでも皆さんの家づくり・住まいづくりの参考になればと思い、

今後も情報を発信していきます。

そもそも位置変更ってできるの?

最近の住宅は、参考になるプランが多く、水回りの位置を集約したり、奥様の家事動線を意識した間取りが採用されることが増えてきています。
そのため、基本的には同じ位置での器具交換が一般的だと思います。

ただ、建てた当初はあまり時間がなく、お任せプランや地域の建売物件を購入した方や、築30年以上の住宅で外に洗濯機があるお宅など、日々の生活の中でストレスを感じている方も多いのではないでしょうか?

  • もっとキッチンの近くに洗面があったらいいのに…
  • 物干し動線のこっち側に洗面があったら便利なのに…
  • お風呂が狭くて子どもと入りにくい、介護しにくい…
  • なんでここが引き戸じゃなくて内開きなの?

などなど、小さなことから大きなことまで、不満や希望はさまざまです。

結論として、当たり前ですが構造によって変更が可能な場合と不可能な場合があります。
そこで、次の3つのポイントを押さえて説明していきます。


給排水の変更

水回りの器具を機能させるには、水・お湯・排水が必ず必要です(もちろん電気配線も必要です)。
これらは床下や壁内に埋設施工されています。

  • 水・お湯について
    基本的に振り分けができれば、自由に位置変更は可能です。
    お湯は給湯器の位置によっては配管が長くなり、給湯効率が悪くなる場合もありますが、振り分け自体は可能です。
    増設の場合は、新しく給湯器が必要になることもあります。
  • 排水について
    ここが最も重要です。
    排水には勾配が決まっており、流れなければ大問題になります。
    お家の排水は、床下や壁内を通って最終的に外部へ排出されます。
    そのため、「外部の排水枡まで適切な勾配を保てるか?」が鍵です。
    無理な場合は、外部の排水枡を増設できるか検討します。
    マンションの場合は、PS(パイプスペース)まで排水を持っていけるかがネックです。

基礎周りの制約と補強

マンションではあまり関係しませんが、バリアフリーマンションでは水回り部分の床スラブを掘り下げている場合があり、段差の制約が出ます。

一戸建てでは、水回りの周囲には基本的に基礎があります。
構造を固めるため、計画しやすいのが水回りなのです。

たとえば、大空間のLDKでは、対面キッチンの下に基礎の立ち上がりを設け、構造を強化します。
洗面・浴室では四方を基礎で固め、その上に構造壁を施工します。

もし浴室を広げたい場合、基礎を破断する必要が出るため、強度を下げないための補強が必須になります。
費用をかければ施工は可能ですが、思い切って位置を変更した方が、同じ位置で拡張するより費用が下がることも多いです。

また、古い家ではタイル張りの在来浴槽やトイレの下が土で嵩上げされていることがあり、撤去が必要です。
そういった場合、土台が腐食していることも多いため、補修費用が必要になります。


構造の制約と補強

基礎と同じく重要なのが構造です。
水回りには、構造上重要な壁が集約していることが多いです。

木造住宅では、別の部分で補強壁を計画すれば変更可能なことが多いですが、規格住宅や軽量鉄骨造では、基礎・構造壁を触ることができません。
事前に天井裏・床下の調査をしっかり行わないと判断できません。

たとえば、開き戸を引き戸に変える場合でも、隣の袖壁が構造上重要かどうかで施工可能かが変わります。
施工できるからといって、施工して良いとは限りません。
業者によっては、壊すだけ壊して補強計画が不適切なこともあるので、根拠や保証内容をしっかり確認する必要があります。


よく見る「3点セット・4点セット交換」との違いは?

最近、家電量販店やチラシなどでよく見かける水回りセット。
水回りの位置変更工事と何が違うかというと、「物を売っているのか」「建築工事を売っているのか」の違いです。

一般的に、水回りセットは商品販売のスタイルです。
キッチン・洗面・トイレ・ユニットバスを施工する際、最低限必要な設備工事・仕上げ工事(クロス・クッションフロアなど)が含まれていますが、内部の構造補強や腐食補修は基本的に行いません。

築年数が浅く、生活動線に不満がない場合は良い選択肢ですが、建築工事が絡むと価格が上がる傾向があります。
なぜなら、設備業者がメインで大工工事が得意ではないことが多いからです。

在来浴室(タイル張り)やタイル張りのトイレ・洗面などがある場合は、建築工事が多く含まれる可能性があるため、適切な業者選びが重要です。


メリット・デメリット

水回りの位置変更・拡張のメリット・デメリットは、ズバリ「価格と快適さの天秤」です。

建てた当時は良かれと思った間取りでも、日々の生活の中で許せないポイントが出てくることがあります。
毎日ストレスを感じるより、奥様やご主人が機嫌よく過ごせる方が家庭の安定につながることもあります。

そのプライスレスな日々に、いくらまで費用をかけられるかが重要です。
リフォーム工事は、手を加える箇所を減らせば費用は下がり、逆に触れば触った分だけ費用がかさみます。

先ほどの3つのポイントを考慮すると、普通の水回り工事をするよりも100万~300万円程度のプラスがかかることが多いです。
ご家族の介護など必要性が高い場合は、大きく位置を変更して費用を抑える方法もあるので、プロに相談して進めてください。


まとめ

水回りの位置変更はできるの?
→ できます。ただし、次の3つのポイントに注意が必要です。

  • 給排水の変更
  • 基礎周りの制約と補強
  • 構造の制約と補強

メリット・デメリットは「費用と快適さの天秤」。
適切な業者に相談し、大切な住まいの価値が下がらないか、構造に問題が出ないか、しっかり根拠の説明を聞いて判断してください。

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