「メンテナンスでシロアリ駆除が必要です」って言われても……
- どう対策すればいいの?
- そもそも、なぜシロアリが出てくるの?
よくわからない…という方も多いのではないでしょうか?
今回は、某大手リフォームメーカーで全国1位の実績を持つ元エリアマネージャーが、
「シロアリ」について、わかりやすく解説していきます!
少しでも皆さんの家づくり・住まいづくりの参考になればと思い、今後も情報を発信していきます。
シロアリのメンテナンスは必要?
基本的に木造住宅には定期的なメンテナンスが必要です。
鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)でも、仕上げ材に木を使用していたり、畳のある和室がある場合、または本や段ボールを納戸に置いている場合でもシロアリはやってきます。
持ち家の方は何らかの対策が必要です。
実際、建物調査中に私も何度かシロアリに遭遇しましたが、木材がスカスカに食べられている光景をよく見ました。
新築時には建築基準法により、地面から高さ1m以内の柱や土台・筋交いなどに防蟻処理の施工が義務づけられています。この施工には、通常5年間の保証がついています。
土台に使われる木材は「心持ち材」といって、年輪が残る中心部の木や、ヒノキなどの防虫効果がある木材が使われるのが一般的です。
年輪があると繊維部分が残り一気に潰れることが少ないためです。
シロアリは繊維以外の部分を先に綺麗に食べていくため、基本繊維部分が残ります。
全部食べられてしまうと、私のような素人の握力でも木材が“クシャッ”と潰れてしまいます。
シロアリはアリじゃない?
「シロアリ」という名前がついていますが、実はアリの仲間ではなく、ゴキブリに近い仲間です。
ジメジメした水気の多い場所を好みます。
代表的な種類は以下の通りです:
- ヤマトシロアリ:日本全国に生息
- イエシロアリ:西日本など温暖な地域に生息
他にも多くの種類が存在します。詳しくは、白アリ対策協会などのサイトをご参照ください。
ただし、地球温暖化により、生息地域は今後変わっていく可能性もあります。
自然界では、シロアリは枯れた木などを分解する役割を持つ、生態系に必要な存在です。
……ですが、「家の中には来てほしくない」存在であることも事実です。
特に注意が必要なのがイエシロアリです。自分で水分を運ぶため、2階や小屋裏にまで被害が広がることも。
被害のスピードも速いため、早急な処置が必要になります。
ただし、シロアリは木の内部や蟻道(トンネル)を通って進行するため、見た目での発見は難しいのが現実です。
メンテナンスと対策
厄介なシロアリですが、基本的な対策を行っていれば、過度な心配はいりません。
防蟻処理は「保証切れのタイミング」で行う
以前は10年保証の薬剤もありましたが、シックハウス症候群の影響で強い薬剤は使用禁止になりました。
現在は5年保証が一般的です。保証が切れるタイミングで防蟻処理を行うのが基本です。
換気をしっかりと!
最近の住宅では「ベタ基礎」といって、防湿フィルムの上にコンクリートを打ち、床下全体に換気が行き届く構造になっているため、シロアリが寄り付きにくい設計になっています。
しかし、古い住宅では「換気口」が基礎の周囲に設けられており、そこを塞ぐように花壇や物置を置いたり、コンクリートを打ってしまうと非常に危険です。
換気ができず湿気がこもり、シロアリの温床になります。
また、基礎高さの上部にまで土を盛るなどして木と土が密着している状態もNGです。
「どうぞ来てください」と言っているようなものです。
狭小地ではブロック塀などで風通しが悪くなっていることもあり、この場合も空気の流れを作る工夫が必要です。
床下調査で屋外との湿度差や木材の含水率などを調べれば、換気が取れているか憶測はできます。
建物の周囲を清潔に保つ
シロアリは自然界にはどこにでも存在する生き物です。
しかし、住まいの環境によって、被害に遭いやすいかどうかが変わります。
- 森や林が近い場合
- 廃墟や空き家が近くにある場合
これらの環境は特に注意が必要です。
また、家の周囲に枯れ木や傷んだ木材、段ボールなどを放置していませんか?
それらはシロアリを呼び寄せる原因になります。
さらに、雨漏りや水漏れを放置していると、「木を土に返してください」とお願いしているようなもの。
必ず早めに補修しましょう。
家を守るためには、定期的な掃除とメンテナンスが不可欠です。
まとめ
シロアリ対策は必要です!
その理由は明確です。
- シロアリは自然界ではありがたい存在でも、家にとっては“敵”。
- しっかり対策すれば、無駄な出費や被害を防げる。
活動のピークは6月から7月。春になると、多くの生き物が活発になります。
シロアリだけでなく、木を食べる虫は他にもいます。
だからこそ、建物に興味を持ち、家の健康診断をする感覚でメンテナンスを進めていきましょう。
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