ショールームに相談に行くと、各社から大量のプレゼン資料を渡され、
「うちは〇〇が標準で付いています」「他社よりも安心・お得ですよ」と説明されることが多いと思います。
でも、実際には
「何がいいのかよく分からない…」という方も多いのではないでしょうか?
今回は、某大手リフォームメーカーで全国1位の実績を持つ元エリアマネージャーが、【標準仕様って何?】について解説します。
少しでも皆さんの住まいづくりの悩み解決になれば幸いです。
標準仕様ってそもそも何?
標準仕様とは、住宅会社があらかじめ設定している「基本プラン」に含まれる内容のことです。
あらかじめ大まかな仕様を決めておくことで、建物の坪単価を出しやすくなったり、メーカーと年間契約を結んでコストを抑えた仕入れが可能になるなどのメリットがあります。
請負契約の際も、この標準仕様書をベースに契約を進めていくため、非常に重要な資料です。
もし標準仕様を決めていなければ、一つひとつ内容を都度決めていく必要があり、膨大な時間と労力がかかります。
つまり、標準仕様とは「その会社のおすすめセット」とも言える存在です。
ただし、どこまでを標準に含めるかは会社によって大きく異なるため、単純比較が難しいのが実情です。
どう比べればいいの?
詳細な比較は、正直かなりハードルが高いです。
構造や断熱性能、建具のグレード、水回り設備の選べる幅など、多岐にわたるからです。
なお、2025年度の建築基準法改正により、新築住宅は以前のような「性能の低い家」は建てられなくなってきています。
そのため、あえてハイグレードを求めない限り、ある程度の性能は確保された住宅になります。
ただ断熱性能については、2030年に更なる基準引き上げが予定されているため、今建てるなら断熱等級5(ZEH基準)は押さえておきたいところです。
ただし、仕様=性能とは限りません。
素材そのものが良くても、施工が悪ければ性能は発揮されません。
素材選びよりも、適切な施工体制が整っているかどうかが、住宅の完成度を大きく左右します。
結論として、以下の観点でチェックするのがポイントです:
- 信頼できる施工会社か?
- 外部仕様(サッシや屋根など)の耐久年数やメンテナンス性はどうか?
- 内装・水回りのグレードは納得できるものか?
また、水回りや建具の仕様に慣れていないことが普通です。一度メーカーショールームを案内してもらい、実物を見ることをおすすめします。新商品やグレードの幅が理解できます。
オプションとの違いは?
標準仕様は「その会社のオススメ品」。
オプションを付けなければ、一番リーズナブルな価格で建てることができます。
オプションの範囲は、会社のコンセプトによって異なります。
高級路線のハウスメーカーと、ローコスト住宅会社とでは、「標準仕様」のレベルも変わります。
- コストを抑えて届けることがコンセプトの会社では、多くの部分がオプション扱いになる可能性あり。
- 他にはない上質さ・快適さを重視する会社では、もともと高めの仕様が標準に含まれていることも。
価格重視で進めると、「えっ、これもオプションなの?」と驚くこともあります。
自分がどんな暮らし方をしたいのかを明確にした上で、会社選びをすることがオプション減につながります。
個人的な意見ですが、こだわらない部分はコストを抑え、こだわる部分にはしっかり費用をかけることで、納得感の高い家づくりになると感じています。
目安として、オプション費用は200〜300万円程度を見込んでおくと、よほど贅沢な水回りの変更をしなければ対応できます。
注意点
そもそも新築住宅は“贅沢品”という視点を持つことも大切です。
情報収集を怠ったまま家づくりを進めると、後悔することになります。
せっかく時間をかけて情報収集して仕様や間取りを決めても、資産価値はどうしても目減りしやすいのが現実です。
もちろん、最近の住宅は性能も耐久性も向上しています。
将来的に住宅市場の価値観が変わる可能性もありますが、少子高齢化が進む現状では、資産としての期待値は控えめに考えておくのが無難です。
新築の特徴は、「費用対効果」「労働対効果」が低くなりがちな点です。
それを理解したうえで、ショールーム見学などを活用して知識を深め、自分に合った納得の住まいをつくっていきましょう。
まとめ
- 標準仕様は各社の“おすすめセット”であり、その会社の経営方針そのもの。
- 「どんな暮らしを提案しているか」を仕様から読み取る視点が大切です。
- 仕様=性能ではなく、適切な施工体制があって初めて本当の性能が生まれます。
「大手だから安心」と思い込まず、自分の目で仕様を確認し、納得できる施工会社と出会うことが、後悔しない家づくりの第一歩です。
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