「ドアって、普通についていればいいんじゃないの?」
そう思われている方も多いのではないでしょうか。
でも実は、リフォーム後に後悔しがちなのが“開き勝手”と“ドアのサイズ”なんです。
新築やリフォームでは、ついキッチンやお風呂などの設備にばかり目が行きがち。でも「ドアの開く方向」や「通りやすさ」も、毎日のストレスや暮らしやすさに大きく関わります。
今回は、リフォーム現場でよくある失敗例と、建具選びのポイントをわかりやすくご紹介します。
建具での後悔ポイント
よくある後悔ポイントはこちら:
- サイズが小さくて物が運びにくい
- 開き勝手が悪く、毎回閉めないと通れない
- 扉同士が当たって危ない
- 扉に家具や荷物がぶつかる など
こうした“ちょっとの不便”が、日々のストレスになることも。
デザインも大切ですが、毎日の使い勝手はもっと大切です。
建具選びでは「日々の動線」や「空間の使い方」を考えておくことが重要です。
開き勝手はどう選ぶ?
片開きのドアを選ぶ場合は、ドアが開く方向に十分なスペースがあるかを意識しましょう。
たとえば、子ども部屋に入るドアが狭い廊下側に開くと、通るたびに不便に感じます。
基本的には、部屋に招き入れるように室内側へ開くようにするのが一般的です。
また、吊り元を壁側、取っ手を広い空間側にすることで、出入りがスムーズになります。
人は「狭いところから広いところに入る」と開放感を感じやすく、廊下の天井高をあえて下げてストレスを感じた後に部屋を広く見せる手法もあります。“広い方へ招く”感覚でドアの開き方を計画してみましょう。
洗面所やトイレなどの狭い空間では、内開きのドアは避けたほうが無難です。
ドアが中に開くと、元々狭い空間がさらに使いづらくなります。特にトイレでは、内側で人が倒れてしまうと救助のためにドアが開かなくなるケースもあります。
できれば、洗面所やトイレには引き戸を採用するのが理想です。
配置的に難しい場合は、「中折れ戸」なども検討しましょう。
また、ドアは動線だけでなく搬入口としての役割もあります。
大きな洗濯機などの搬入時に支障が出ないよう、事前にサイズの確認を忘れずに。
介護や子育て中の家庭では、断然「引き戸」がおすすめです。
作業効率がよく、使えるスペースも広がります。
引き戸?開き戸?どっちがいいの?
デザインや好みにもよりますが、個人的には引き戸がおすすめです。
狭小住宅の場合は空間を一体化しやすく、無駄なスペースを省けるからです。
ただし、引き戸にはデメリットもあります。
- 開き戸より気密性が劣る
- 価格が高くなることもある
- レールの掃除がやや手間
- 特に髪の毛がコマに絡まりやすく、メンテナンスが必要なことも
レールのない上吊り式引き戸もありますが、さらに気密性が下がることも。
それぞれ一長一短なので、用途と空間に合った選び方が必要です。
建具には「造作建具」と「新建材建具」がある?
リフォームでよくある後悔のひとつが、「建具の幅が狭くなった」という声。
実は、建具には以下の2種類があります。
- 造作建具:大工さんが取り付けた枠に合わせて作る、オーダーメイドの建具
- 新建材建具:メーカーが枠ごとセットで提供する既製品の建具
この違いで同じ位置に建具をつけても、通路幅が狭くなることがあるんです。
造作建具では柱をそのまま枠として活かせますが、新建材建具は柱の内側にさらに枠材が必要になるため、その分内寸が狭くなります。
特に狭い場所では、わずかな違いでも人は敏感に「使いづらさ」を感じるもの。
大きな空間では気づかなくても、小さな空間では如実に感じるので注意が必要です。
サイズはどう決めればいい?〜見た目・機能・未来を意識する
見た目のバランスや使い勝手の良さ、そして将来の変化も含めて考えることが大切です。
まず、標準的な建具サイズは
- 幅:約70cm
- 高さ:約200cm
一昔前の住宅では高さ180cmほどの建具が主流でしたが、最近では*天井まで伸びる“ハイドア”も人気です。空間に高さの広がりを感じさせ、スタイリッシュな印象になります。
ただし、高さがある=おしゃれ、とは限りません。
たとえば昔ながらの旧家では、建具の高さが173cmほどで、欄間と一体感を持たせたデザインで、建具を開くことで解放感ある空間になります。そこに現代的な200cmの建具を入れてしまうと、空間全体がちぐはぐに見えてしまいます。
逆に、建具は200cmで新しく統一したのに、現代的な内装に180cmの建具が残ってしまうと、貧相に見えてしまうことも。
つまり、建具は高さを合わせて“空間に統一感”を持たせることが大切なんです。
幅は「用途」と「動線」が決め手
- どんな家具や家電を通すのか
- 車椅子や介護が必要な可能性は?
- 人が出入りするだけか?
こうした点を事前に考えておかないと、「あれ?これ通らない…」ということも起こります。
さらに、開き勝手は家具の配置や壁掛けテレビの位置によっても変わってきます。
せっかく広いドアをつけても、家具が邪魔して開かない…なんてこともあります。
高さは「空間バランス」で決める
空間の一体感を出す為にはハイドアも有効的です。垂れ壁が少ないことで空間の抜けができる為です。欄間のある無しで一体感が変わる感覚と同じです。
ただ床面積が少ない空間に建具だけ高くするとこれもアンバランスです。
天井高も同じですが床面積が少ないのに天正高を高くしても貧相に見えます。空間の統一感が重要です。
まとめ
建具のサイズや開き勝手は、「日常のちょっとした不便」をなくすための大切な設計ポイントです。
毎日使うドアだからこそ、今の暮らしだけでなく、10年後の自分や家族のことも想像しながら選びたいですね。
機能性だけでなく、空間の一体感や心地よさも意識して、納得のいく建具選びをしてみてください。
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