【そのドア、本当に使いやすい?】暮らしをラクにする建具サイズと開き勝手の選び方

仕様

リフォームや新築をするとき、キッチンやお風呂などの“設備”にばかり目が行きがちですよね。でも、毎日の生活で必ず使う「ドア」は、実は暮らしやすさを左右する大きなポイントなんです。

「あれ?このドア、開けづらい…」
「家具がぶつかって動線が悪い…」

実は、リフォームや新築で後悔の声が多いのが“ドア”などの建具なんです。
見た目や設備にはこだわるのに、ドアの使い勝手は後回しにされがち。
でも、毎日何度も使う場所だからこそ、ちょっとした不便が大きなストレスになります。

この記事では、建築の現場経験をもとに、暮らしを快適にする建具サイズと開き勝手の選び方を解説します。
「後悔しないドアの設計ってどうするの?」という疑問を、わかりやすく解決していきます。

この記事でわかること
・建具でよくある失敗パターンとその原因
・生活動線に合った開き勝手・サイズの選び方
・引き戸と開き戸のメリット・デメリット比較

ドアの使いやすさは、間取りと同じくらい生活の快適さに直結します。
見た目だけで選ばず、「暮らし方」に合わせた設計が大切です。

strato

元大手ハウスメーカー勤務  (エリアマネージャー)
→エリア成績全国No1獲得
新築戸建分譲の現場監督経験を経て大手ハウスメーカー
リフォーム部へ転職
現在は「後悔しない家づくり情報」をブログで発信中!

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建具での後悔ポイント

よくある後悔ポイントはこちら:

  • サイズが小さくて物が運びにくい
  • 開き勝手が悪く、毎回閉めないと通れない
  • 扉同士が当たって危ない
  • 扉に家具や荷物がぶつかる など

こうした“ちょっとの不便”が、日々のストレスになることも。

デザインも大切ですが、毎日の使い勝手はもっと大切です。
建具選びでは「日々の動線」や「空間の使い方」を考えておくことが重要です。


開き勝手はどう選ぶ?

片開きのドアを選ぶ場合は、ドアが開く方向に十分なスペースがあるかを意識しましょう。

たとえば、子ども部屋に入るドアが狭い廊下側に開くと、通るたびに不便に感じます。
基本的には、部屋に招き入れるように室内側へ開くようにするのが一般的です。

また、吊り元を壁側、取っ手を広い空間側にすることで、出入りがスムーズになります。
人は「狭いところから広いところに入る」と開放感を感じやすく、廊下の天井高をあえて下げてストレスを感じた後に部屋を広く見せる手法もあります。“広い方へ招く”感覚でドアの開き方を計画してみましょう。

トリックアート迷宮館も視覚をうまく利用しています。

洗面所やトイレなどの狭い空間では、内開きのドアは避けたほうが無難です。
ドアが内に開くと、元々狭い空間がさらに使いづらくなります。特にトイレでは、内側で人が倒れてしまうと救助のためにドアが開かなくなるケースもあります。基本禁止です。

できれば、洗面所やトイレには引き戸を採用するのが理想です。
配置的に難しい場合は、「中折れ戸」なども検討しましょう。

また、ドアは動線だけでなく搬入口としての役割もあります。
大きな洗濯機などの搬入時に支障が出ないよう、事前にサイズの確認を忘れずに。

介護や子育て中の家庭では、断然「引き戸」がおすすめです。
作業効率がよく、使えるスペースも広がります。


引き戸?開き戸?どっちがいいの?

デザインや好みにもよりますが、個人的には引き戸がおすすめです。

狭小住宅の場合は空間を一体化しやすく、無駄なスペースを省けるからです。

ただし、引き戸にはデメリットもあります。

  • 開き戸より気密性が劣る
  • 価格が高くなることもある
  • レールの掃除がやや手間
  • 特に髪の毛がコマに絡まりやすく、メンテナンスが必要なことも

レールのない上吊り式引き戸もありますが、さらに気密性が下がることも。
それぞれ一長一短なので、用途と空間に合った選び方が必要です。


建具には「造作建具」と「新建材建具」がある?

リフォームでよくある後悔のひとつが、「建具の幅が狭くなった」という声。

実は、建具には以下の2種類があります。

  1. 造作建具:大工さんが取り付けた枠に合わせて作る、オーダーメイドの建具
  2. 新建材建具:メーカーが枠ごとセットで提供する既製品の建具

この違いで同じ位置に建具をつけても、通路幅が狭くなることがあるんです。

造作建具では柱をそのまま枠として活かせますが、新建材建具は柱の内側にさらに枠材が必要になるため、その分内寸が狭くなります。

特に狭い場所では、わずかな違いでも人は敏感に「使いづらさ」を感じるもの。
大きな空間では気づかなくても、小さな空間では如実に感じるので注意が必要です。

トイレの10cmとリビングの10cmの差は、体感が全然違うよ。


サイズはどう決めればいい?〜見た目・機能・未来を意識する

 見た目のバランス使い勝手の良さ、そして将来の変化も含めて考えることが大切です。

まず、標準的な建具サイズは

  • 幅:約70cm
  • 高さ:約200cm

一昔前の住宅では高さ180cmほどの建具が主流でしたが、最近では*天井まで伸びる“ハイドア”も人気です。空間に高さの広がりを感じさせ、スタイリッシュな印象になります。

ただし、高さがある=おしゃれ、とは限りません。
たとえば昔ながらの旧家では、建具の高さが173cmほどで、欄間と一体感を持たせたデザインで、建具を開くことで解放感ある空間になります。そこに現代的な200cmの建具を入れてしまうと、空間全体がちぐはぐに見えてしまいます。

逆に、建具は200cmで新しく統一したのに、現代的な内装に180cmの建具が残ってしまうと、貧相に見えてしまうことも。

つまり、建具は高さを合わせて“空間に統一感”を持たせることが大切なんです。


幅は「用途」と「動線」が決め手

  • どんな家具や家電を通すのか
  • 車椅子や介護が必要な可能性は?
  • 人が出入りするだけか?

こうした点を事前に考えておかないと、「あれ?これ通らない…」ということも起こります。

さらに、開き勝手は家具の配置や壁掛けテレビの位置によっても変わってきます。
せっかく広いドアをつけても、家具が邪魔して開かない…なんてこともあります。


高さは「空間バランス」で決める

空間の一体感を出す為にはハイドアも有効的です。垂れ壁が少ないことで空間の抜けができる為です。欄間のある無しで一体感が変わる感覚と同じです。

ただ床面積が少ない空間に建具だけ高くするとこれもアンバランスです。

天井高も同じですが床面積が少ないのに天正高を高くしても貧相に見えます。空間の統一感が重要です。

有名建築家コルビュジエの設計は黄金比を意識してつくられてます。
バランスはとても重要です。


まとめ

建具のサイズや開き勝手は、「日常のちょっとした不便」をなくすための大切な設計ポイントです。

・ 建具の後悔は、実は“生活動線”と“使い勝手”に原因あり
・ドアの開く向き・サイズは毎日のストレスに直結
・家族構成やライフスタイルの変化も想定して設計を
・機能性+空間デザインのバランスを大切に

毎日使うドアだからこそ、「今」だけでなく「未来」の暮らしも想像して、最適な建具を選びましょう。

「ただのドア」から、「暮らしを整えるドア」へ。

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