築20年以上の家にお住まいの方の中には、
「なんだか床がギシギシ音を立てるようになった…」
「表面が少しずつ剥がれてきた…」
と感じている方も多いのではないでしょうか。
「そろそろ張り替えた方がいいのかな?」と不安に思うこともありますよね。今回は、某大手リフォームメーカーで全国1位の実績を持つ元エリアマネージャーが、
フローリングの張り替えタイミングと注意点について、わかりやすく解説します。
フローリングの劣化サインとは?
長年住んでいると、フローリングの劣化はどうしても避けられません。
劣化の程度によって対処法は変わりますが、よく見られる劣化の例としては以下の通りです。
- 表面の劣化(傷、剥がれ、浮き)
- 床のたわみやきしみ(歩くとフワフワした感覚や音)
- 床の傾き(ボールが転がる・家具が傾いているなど)
特に3つ目の「床の傾き」については、フローリング表面ではなく、その下の構造材の不具合が原因であることが多く、総合的な調査・対策が必要です。
劣化の主な原因とは?
築20年以上の住宅では、当時の建材や接着剤の技術が現在よりも劣っており、剥がれやすい素材も使用されていました。
最近の建材はプリント技術も進化し、無垢材のような質感を再現できるようになっていますが、以前はそうではありませんでした。
当時は、表面材の下にある合板の接着が劣化しやすく、剥がれてミルフィーユのように層が分離してしまうこともあります。
また、床下の湿気や水漏れが原因で接着力が弱まり、床が沈んだり、きしんだりするケースもあります。
特に1階のフローリングでは、以下のような原因が考えられます:
- 床下の換気不足
- 湿気がこもった状態の長期放置(布団の敷きっぱなし等)
- 結露や水漏れ
合板にも種類があり内部用と外部用があります。フローリング材は内部用なので水には非常に弱いです。
床の「傾き」がある場合は、以下のような構造的要因を疑いましょう:
- 束(つか)の痩せや緩み
- 地盤沈下
- シロアリ被害や構造材の腐食
- 2階であれば、梁の設計ミスや強度不足
張り替え方法は2種類|工法と選び方のポイント
フローリングの張り替えには、主に次の2つの工法があります。
張り替え工法(既存の床を剥がして新しい床材を貼る)
- 費用は高めだが、下地の補修もできる
- 湿気・傾き・腐食などの根本対策ができる
重ね貼り工法(既存の床の上に新しい床材を貼る)
- 費用は安く、工期も短い
- 表面的な劣化には有効だが、下地の状態には注意が必要
選び方のポイントは、「今ある劣化の原因に応じた対策ができるかどうか」です。
表面の剥がれ程度であれば重ね貼りでもOKですが、たわみ・きしみがある場合は原因を特定し、必要に応じて下地の補修をしてから施工しないと、費用が無駄になる恐れがあります。
工法別の注意点
重ね貼り工法の注意点
- 新しい床材の厚みによって段差が生じる
- 特に出入り口・敷居・扉下などのクリアランスを要チェック
- 下地の不陸(凹凸)を拾いやすく、薄い材料だと見た目に影響が出ることも
- 床鳴り防止のため、既存フローリングの増し締めと表面の処理が必須
張り替え工法の注意点
- 下地が見えるため、断熱材の追加・防音対策・気密強化などが同時に可能
- 床を剥がす機会はそう多くないので、「今しかできない施工」を一緒に検討するのがおすすめ
仕上がりにも差が出る!フローリングの貼り方ひと工夫
フローリングの目地(継ぎ目)の方向にも注目しましょう。
一般的には、部屋の「長手方向」に目地を通すことで、部屋が広く見える効果があります。
これは私の個人的好みもありますが、建具を上吊り式にして扉下の敷居をなくすと、床面がよりすっきり見え、空間が広く感じられます。張り替えのタイミングで一緒に検討すると◎です。
まとめ|費用だけで決めない。大切なのは「何を解決するか」
フローリングの張り替えでは、劣化の内容や原因をしっかり見極めた上で、最適な施工方法を選ぶことが何より重要です。
重ね貼りと張り替えでは、費用や施工内容に差があります。
価格の安さだけで判断せず、何ができて何ができないのか、工法ごとのメリット・デメリットを業者からしっかり説明を受けた上で判断しましょう。
また、「あと何年住む予定か」「家族のライフスタイルの変化」も踏まえて、専門家と相談することをオススメします。築年数が経っていることもあるので、耐震性能や構造的欠陥の大きさによって住まい続けるかの判断材料にもなります。
信頼できる業者と相談を進めて下さい。
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