最近のキッチンプランでは、対面式が主流になっています。
ですが、いざリフォームや新築を検討する中で、
- 「壁付けキッチンのメリットってあるの?」
- 「対面キッチンにもデメリットがあるの?」
と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
実際に体験してみないとわからないことが多いのが、キッチンの設計です。
今回は、某大手リフォームメーカーで全国1位の実績を持つ元エリアマネージャーが、
壁付けキッチンと対面キッチンの違いと設計のポイントについて解説します。
少しでも皆さんの家づくり・住まいづくりの参考になれば幸いです。
壁付けキッチンで感じる不満ポイント
- 壁に向かって作業していて、まるで“作業員”になった気分
- お尻が来客に向いてしまうのが気になる
- 会話しづらい
- 子どもが何をしているか分からず、気づきにくい
以前は壁付けキッチンが一般的で、実家などもその形式が多かったのではないでしょうか。
壁付けキッチンには「空間スペースを有効活用できる」というメリットがあります。
団地や狭小住宅ではとくに重宝され、また給排水の配管位置の都合もあり、
多く採用されてきたのではないかと思います。
広い住宅であれば、ダイニングキッチンとリビングを分けることができ、
くつろぐスペースと食事のスペースを明確に区切れます。
その場合、壁付けキッチンでも不満は少なく、
「不便ではないけれど、対面キッチンへの憧れはある」というお声が多い印象です。
現在では30〜35坪前後の住宅が一般的となり、
リビング・ダイニング・キッチンを一体化した空間づくりが主流になっています。
対面キッチンに変えて不便に感じた点
実際に壁付けから対面にリフォームされた方の声には、こんな不満もあります。
- 配膳がしづらくなった
- 作業スペースや物を置く場所が減った
- 空間が狭く感じる
これは、壁付けキッチンのメリットが無くなったことで、初めてそのありがたみを実感したパターンです。
壁付けキッチンでは、背面にダイニングテーブルが配置されることが多く、
配膳がしやすく、テーブルが作業台や一時置きスペースとしても活用できます。
調理のしやすさという点では、やはり「スペースの広さ」は重要な要素。
キッチン動線では「ワークトライアングル(シンク・コンロ・冷蔵庫)」が有名ですが、
シンプルな料理と手の込んだ料理では感じ方が大きく異なります。
最近では共働き家庭も増え、調理の時間が短縮化され、
冷凍食品などを活用するご家庭では、あまり不満に感じられないかもしれません。
ただし、特にご年配の方など、壁付けに慣れていた方ほど不便を感じやすい傾向があります。
プランのポイント:どちらを選ぶかではなく「暮らしに合った設計」を
壁付け・対面どちらにもメリットとデメリットがあります。
どちらが合うかは、家族構成やライフスタイル次第。
プラン次第で間を取ることもできます。
例えば…
- キッチン横にダイニングテーブルを並べる配置にすれば、配膳がとても楽になります。
*ただキッチンとテーブルをつけて動線を短くしたい場合は、アイランド型で回遊性を確保する、もしくは回遊が難しい場合でも、キッチンとテーブルの間に動線スペースを取ることが大切です。
- 作業スペースを重視するなら、Ⅱ型キッチンの導入もおすすめ
設計時には、建物の床面積・スペース・敷地条件・優先順位によって判断が分かれます。
プランナーとしっかり価値観を共有し、優先すべきポイントを明確にしていくことが大切です。
どんなキッチンにしたいですか?
- テレビを見ながら料理したい
- 景色を眺めたい
- 家族と一緒に料理したい
- ベランダや庭でBBQを楽しみたい
こうした「暮らし方の希望」がキッチンの形を決めていく、何よりのヒントです。
まとめ
今回は、壁付けキッチン・対面キッチンの実際の使用感をもとに、設計の考え方を解説しました。
キッチンプランに正解はありません。
家族の暮らし方・将来の変化・生活スタイルによって、「最適解」は変わっていきます。
子育て・巣立ち・親の介護など…
ライフステージに合わせて可変性を意識した設計をすることが、後悔しない家づくりの第一歩です。
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