「高断熱・高気密の家を建てたいけど、窓はなるべく減らしたほうがいいの?」
「最近の家づくりでは窓が少ない方がいいって聞くけど、本当にそれで快適なの?」
そんな疑問や不安を抱えていませんか?
確かに、高気密・高断熱住宅が主流となり、省エネ性能が注目される今、窓の存在は“断熱の敵”として語られがちです。
でも、本当にそうでしょうか?窓には、断熱性だけでは語れない大切な役割があるのです。
私もリフォームの現場で、お客様から「もっと早く知っておけば…」という声を何度も聞いてきました。
この記事では、ただ性能を重視するだけではわからない、窓の本当の役割について詳しく解説します。
断熱や耐震性とのバランスの取り方、視覚効果や快適性の観点からも、実践的なヒントをお届けします。
■この記事でわかること
・窓を減らすと本当に断熱性は上がる?そのメリットと落とし穴
・窓が果たす「断熱」「採光」「視覚効果」など多面的な役割
・後悔しない窓の配置と設計の考え方
窓は減らせばいいという単純な話ではなく、性能と暮らし心地のバランスが何より重要です。
快適な住まいには、適切な窓の“選び方”と“活かし方”が欠かせません。
窓を減らせば断熱に効果的?
窓は住宅の中で最も熱の出入りが激しい部分です。
冬は室内の熱の約50〜60%が窓から逃げ、夏は外からの熱の約68〜73%が窓を通じて室内に入ってくるというデータもあります。
単純に断熱効果を高めるには窓を減らした方が効果的です。
これは耐震性でも同じで、窓が減り、壁が増えれば、強度は増します。
ただ、それでは四角い箱に換気システムと居住スペースを割り振るだけの空間になってしまいます。実際には、採光計算などで自然光を取り入れる必要がありますが、性能のみを追求すると、そうなってしまいます。
ここで大切なのはバランスです。
採光計算の基準をクリアするためだけに窓をつけるのではなく、「人が心地よく暮らす空間」を考えることが大切です。建築の強さ・機能性・美しさのバランスを取る中で、窓の役割をどう使っていくかが重要です。
窓の役割って?
窓があることで得られるメリットは、自然光の取得、換気、視覚的効果が代表的です。
そこで、窓に求められる性能としては、断熱性能、遮音性、防犯性が挙げられるでしょう。
窓に求める性能面ばかりに着目すると、窓ならではのメリットが損なわれてしまいます。要は、バランスが大事です。
不動産価値を意識した物件選びでは、都心部や金額面で狭小地になってしまうことが多いと思います。
そこで、窓のメリットを活かすための設計にはプランテクニックが必要になります。
費用を抑えるために窓を減らすのは致し方ない方向ですが、窓のメリットを最大限に活かす工夫が大切です。
ダメな例
・なんとなく大開口を作って普段は雨戸で締め切り
・日中、直射日光がさんさんと降り注ぐ窓配置

せっかくの高い窓をつけても効果を発揮しないともったいない。
その場合は、建物を建てる敷地周辺の立地を意識して、窓を配置すれば、道路の植樹、公園の草木、電信柱の少ない空間で空を見上げられるポイントを作ることができます。
もしお隣に庭があれば、それも緩和的利用できます。
坪庭や地窓で小さな癒し空間を作ること、観葉植物のスペースを設けることなど、窓の視覚的効果は日々の生活に程よいスペースを与えてくれます。
視覚的効果で、人間社会と自然を繋ぐのが窓の大きな役割です。
自然光の暖かさは間接光で、換気は換気システムで、視覚効果は画像や絵などで代役を考えるしかありません。

日差し対策では電動シャッターやオーニングが役立ちます。
視覚的効果の重要性
人は視覚で多くの情報を得ています。
五感の中で、視覚からの情報が最も多くを占めています。目で見た情報で、私たちは色々なことを感じ取ります。
同じ空間でも、両側を壁で塞がれた廊下を歩くのと、両側の窓から景色が見える廊下を歩くのでは、人に与える感覚に大きな違いが出ます。
視覚的効果や空間のバランスを意識して設計することが重要です。性能面に特化すると、忘れがちな効果です。
だからと言って、デザイン性を重視しすぎて機能面を無視したプランも役立ちません。
ここでも重要なのは「バランス」です。

建築士の建てた家は、カッコイイけど住みにくいことがよくあります。
まとめ
窓は単なる家の開口部にとどまらず、私たちの生活に多大な影響を与える重要な存在です。
自然光の取り込みや換気、外部とのつながりを提供するだけでなく、現代では断熱性や防犯性を高めるなど、機能性が大きく進化しています。
家づくりやリフォームを考える際には、窓の設置場所や種類、性能についてしっかりと考慮することが大切です。
窓をうまく活用することで、より快適で豊かな生活空間を作り上げることができます。ぜひ、自分のライフスタイルに合った窓選びをしてみましょう。
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