「うちの家は古いけど、どの築年数から耐震補強が必要なの?」
「耐震補強の補助金があると聞いたけど、どんな建物が対象なの?」
「結局、耐震補強をすれば長く住み続けることはできるの?」
このような疑問や不安を感じている方は、とても多いです。
新築住宅の価格が高騰している今、既存住宅をリフォームして長く住み続けるという選択をする人は増えています。
しかし一方で、古い住宅は耐震性に多くの課題を抱えているケースがあるのも事実です。
私はこれまで大手リフォーム会社で、数多くの耐震補強工事や耐震補助金の申請に携わってきました。
その経験をもとに、古い家のリアルな問題点と対策、正しい耐震補強の考え方をできるだけ分かりやすく解説します。
この記事を読むことで、漠然とした古い家への不安が整理され、
どのような耐震対策を行えばよいのかが具体的に理解できるようになります。
■この記事でわかること
・自宅が耐震診断を受けるべき建物かどうか
・耐震診断でチェックされるポイントと補強の方法
・補助金や支援制度を活用するための準備と注意点
・耐震補強すれば長く住み続けることは可能か
結論、古い木造住宅でも適切な耐震補強を行えば再生することは可能です。
そして場合によっては、さらに30年、40年と住み続けることも十分に可能です。
正しい知識と対策を理解して、これからの住まいの再生に役立てて下さい。

strato
大手ハウスメーカー リフォーム部
元エリアマネージャー
エリア実績 全国No1獲得
現在は独立してブログで住まいの情報発信中
建築業界25年の知識を発信します。
そもそも耐震診断って何を見てるの?

耐震診断は、建てられた築年年数、建物の劣化状態(痛み具合)を調べて、値を出すことです。
検査は非破壊(壁床などを捲らない)ことが前提なので、基本簡易的な数値になります。
耐震診断はどんな家に必要?
1981年(昭和56年)以前に建てられた木造住宅が、まず一つの区切りになります。これは旧耐震基準で建てられた住宅を指します。
役所の補助金も、この旧耐震基準を一つの目安にして補助対象かどうかを確認しています。
近年では、新耐震基準である1981年以降~2000年以前に建てられた住宅(いわゆる81-20住宅)も、強度に不安があるため、行政によっては補助対象になっているケースもあります。
壁のバランズ規定が緩く、金物強度の不足などが理由です。
最近では直下率などよりバランスを重視した設計が有効に働くことがわかってきています。

ティッシュ箱の1面を切り取って横に揺らすと潰れますよね。
同じ量を4面の真ん中で切り取ると潰れません。
耐震基準とは何か?(基準値は大きな震災の度変更されてきた)
耐震基準は、大きな地震による被害をきっかけに改正されてきました。
- 旧耐震基準は1978年の宮城県沖地震をきっかけに見直され、
- 新耐震基準は1995年の阪神淡路大震災をきっかけに見直されました。
2000年以降も大きな地震はありましたが、大幅な改正は少なく、それ以降に建てられた建物は「命を守る」という点では、一定の機能を果たしているとされています。
築年数が2000年以降の建物でも「危ない」ケースはある
2000年以降、現行法で建てられた住宅であっても、熊本地震では7棟(約2.2%)が倒壊しています。
その主な原因は以下の通りです。
- 接合金物の不備:3棟
- 地盤の影響:1棟
- 震源や地盤特有の局所的作用:3棟
接合金物の不備については、適切な施工や検査が行われていれば防げた可能性が高い問題です。
建築業界で見られがちな、コスト削減や知識不足といった要因が背景にあると考えられます。
また、局所的作用についても、直下率の確保や水平構面の強化など、2025年以降の構造計算や設計ルールの進化によって、今後は改善されていくと考えられます。
一方で、地盤については、地震大国である日本において完全に避けることが難しい要素の一つです。
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耐震で本当に重要なのは「正しい知識」と「正しい施工」
ここから分かるのは、
耐震基準そのもの以上に、正しい設計内容で、正しく施工されているかが極めて重要だという点です。
実際に、前職で勤めていた会社でも、耐震補強までしっかり行った旧耐震基準の住宅が、熊本地震で無被害だったのを確認しています。
耐震性能は、検査体制や施工品質がしっかりしているかどうかで、結果が大きく左右されるのが現実です。
耐震診断でチェックされる主なポイント
- 建物の重さ(屋根材:瓦・スレート、外壁材:モルタル・サイディング、内壁材:ボード・土壁など)
- 壁の配置と量(X軸・Y軸にどれだけ有効な壁があるか)
- 建物の重心と剛心のバランス(壁が四隅に均等配置されているか)
- 接合部の強度(築年数によって規定が異なり、安全側での数値を用いる)
- 基礎の状態やひび割れ(圧縮や引き抜き力に耐えられるか)

建物によっては補強できない。
傾きがひどい場合は機能しないなど
専門家の調査が必須になります。
耐震補強の考え方は? まずは命を守る考え方
耐震補強の目的は「建物を守る」ことよりも「命を守る」ことです。
新築の場合と異なり、既存建物には設計図書がないことが多いため、目視で有効な壁を数え、必要に応じて数値を安全側に下げて計算します。
耐震診断を受けるメリット 闇雲な不安が解消する
地震に強い家かどうかが“見える化”できる
現在のお家の耐震性能を数値で把握できます。 ただし、旧耐震の住宅は非常に低い結果になることも。新耐震でも金物が不十分だと、数値が伸びない場合があります。
耐震診断は基本的に非破壊検査で行われ、床下や屋根裏を確認し、打診などで壁の種類を特定します。
不明確な箇所は、安全側で評価することが一般ですが、どの業者も建築防災協会などの指針に沿って診断は行われますが、業者や自治体により判断基準が異なります。
専門的な内容なので難しいですが、劣化点や壁の見解で数値は変わることだけ頭の隅に入れておいて下さい。

結果が悪いと不安にになるあ…

基本旧耐震のお家は 診断結果はあまり良い結果は出ません。
だからと言ってすぐ潰れる訳では無いのであまり怖がらないでください。
自治体の耐震補助金や制度が使える可能性も
多くの自治体では、耐震診断や耐震補強に対する補助金制度があります。 申請には事前の準備が必要なので、早めの確認をおすすめします。
補助件数の少ない自治体は、公募して1ヶ月程度で締め切ることも!?
昨今の建築費高騰で、来期にずらすべきか金額次第で悩ましいポイントです。
役所は提出の日付順が非常に重要になります。後先が逆転するとも補助金がもらえない場合もあるので注意してください。

役所は日付にシビやです。後先の順番には注意して下さい。
耐震補強って何をするの?(建物軽さ 壁の強度 バランスがポイント)
壁の補強(筋交い・耐力壁)
筋交いや構造用合板を用いて耐力壁を増設します。ただし、基礎が無筋(鉄筋なし)の場合、強すぎる壁を入れると基礎が耐えられないため、バランスが大切です。
屋根の軽量化(瓦→金属屋根など)
屋根の軽量化は非常に効果的です。 瓦から軽量な屋根に変えることで、大きく数値が改善されます。特に土葺きの瓦は重く、軽量化の効果が高いです。 ただし、瓦屋根の耐久性は高いため、判断には悩む点もあります。西日本地域は瓦が多く、まずは検討してみてください。
接合部の強化
阪神淡路大震災では柱の抜けが原因で多くの倒壊につながりました。柱と土台を金物などでしっかり固定することが非常に重要です。
基礎の補強(ひび割れ補修・増し打ちなど)
基礎は建物の揺れを地面に伝える重要な役割を果たします。 一体性を保てず破断すると意味がないため、状況に応じて補修・添え基礎・打ち替え・負担の少ない壁配置などを検討します。

調査に行くとよく、根拠の無い金物で小屋裏や床下を補強している
ことがあります。訪問販売等で受ける耐震診断には注意して下さい。
関連記事:耐震補強は意味がない
耐震補強よりもまずは、建物劣化の補修が最優先!
いくら補強しても雨漏れやシロアリ被害があらば耐力壁は機能しません
阪神大震災の被害の多くはこの劣化が原因とも言われています。
正しい調査と是正の提案があることが大前提になります。


木造はやっぱりシロアリ 水漏れが怖いんだね

だから耐震診断では必ず劣化点を入れて 数値を下げて補強計画します。
悪い業者は、建物調査も程々に劣化点数を上げて診断します注意してください。
耐震補強をするとどのくらい住めるのか|木造住宅は高寿命?
木造住宅は、日本の風土や環境に適した建物です。
傷んだり腐食してしまった場合でも、補強や修繕によって再生しやすい構造である点も大きな特徴と言えます。
木造住宅の寿命の考え方
木造部分だけで考えると、十分に乾燥した状態が保たれていれば100年以上強度を維持することも可能です。
実際に神社仏閣を見れば、1000年以上残っている木造建築も多く存在していることが、その証拠とも言えるでしょう。
つまり、木造住宅は決して寿命が短い建物ではなく、適切な環境とメンテナンスによって長く使い続けられる構造なのです。
耐震補強とメンテナンス
問題となるのは、基礎や外壁、屋根など各部分のメンテナンス状況や劣化状態です。
例えば、古い住宅に多い無筋コンクリート基礎の場合、あまりにも強い耐震壁を計画すると、逆に基礎を破断させてしまう恐れがあります。
そのため、耐震補強では適度な強度の壁をバランスよく配置することがとても重要になります。
また、雨漏れが起きないように外壁や屋根など外皮部分の修繕・更新を行うことも大切です。
どのくらい住み続けたいのかという将来計画に合わせて、工事内容やコストを調整できるのもリフォームの大きなメリットです。
適切な補強で30年〜40年住むことも可能
極端に言えば、構造部分の腐食を是正し耐震補強を行ったうえで、
内部や外部を新築と同じ部材で刷新すれば、耐久年数のスタートラインはほぼ同じ状態になります。
つまり、同じ環境条件であれば、劣化の進み方も新築住宅と大きく変わらないという考え方もできます。
さらに、最新の通気工法・断熱性能・防湿対策などを取り入れることで、建物の耐久性や健康状態は大きく向上します。
どこまで性能向上を目指すのかを調整できるのも、リフォーム工事のメリットのひとつです。
もし最上級の性能を求めるのであれば、建て替えを視野に入れて検討するという選択肢もあります。
耐震補強はどこまですれば安心?費用対効果と計算方法を理解する。
「どこまで補強すれば安心か」は難しい問題です。
補強すればするほど安全性は高まりますが、無限に費用をかけられるわけではありません。 「いつ起きるか分からない大震災の為に、どこまでなら保険として出費できるか」が現実的な判断基準となるでしょう。
補強には評点という基準があり、まずは0.7以上を目指し、可能であれば1.0以上を目標にします。
既存建物の補強計画で1.5以上となると建て替えを検討するレベルの費用感になります。
壁や屋根を補強するだけでは終わりません。
関係する付帯工事は多くなるからです。

既存補強の場合は、劣化点が良くても0.9下げる必要があります。
1.5を出すためには耐震補強では1.67の計画が必要になります。
役所の補助も行政によて0.7から支給させることもあるので、ここをまず超えたいところです。
耐震補助金や支援制度の活用
市区町村の制度をチェックしよう
市区町村ごとに、耐震診断・耐震補強に対する補助制度があります。ホームページや窓口で確認を。
補助金を受けるための条件とは?
多くの場合、「昭和56年以前の木造住宅」などが対象条件です。 申請は事前準備が必要な場合が多く、早めに調べておきましょう。

基本は築40年以上前のお家が対象です。
昔は瓦屋根が多いので、軽い屋根に葺き替えるだけでも有効です。
よくある耐震相談 Q&A
Q:耐震補強は築何年から必要ですか?
一般的には1981年以前に建てられた住宅(旧耐震基準)は耐震補強を検討する必要があります。特に築40年以上の木造住宅は耐震診断を行い、必要に応じて補強工事を検討することが重要です。
大震災で、新耐震基準である1981年以降~2000年以前に建てられた住宅も被害を多く受けているので、2000年以前の建物も補強検討をオススメします。
Q:耐震補強には補助金がありますか?
多くの自治体では耐震診断や耐震補強に対して補助金制度があります。対象は主に旧耐震基準の木造住宅で、診断費用や補強工事費の一部が補助されるケースがあります。
新耐震基準である1981年以降~2000年以前に建てられた住宅も、強度に不安があるため、行政によっては補助対象になっているケースもあるんで相談してみましょう。
Q:耐震補強をすれば古い家でも住み続けられますか?
適切な耐震補強とメンテナンスを行えば、古い木造住宅でも30年〜40年以上住み続けることは可能です。ただし建物の状態によって補強内容は変わるため、まずは耐震診断を受けることが大切です。
建替えや住替えを検討するにも、まずはリフォーム工事費用の目安を出すことが肝心です。
Q:耐震補強の費用はどれくらいですか?
建物大きさ劣化状況、形状や建て方によってまちまちです。
根拠のある補強をしないと、費用を無駄にしてしまう恐れもあります。
まずはプロの診断を受けることをオススメします。
関連記事:耐震補強は意味がない?
まとめ:耐震計画は、現状の把握と対策費用を知ることから始まる
未来の安心は、今日の一歩から始まります。
耐震診断や補強は、「地震が来てから」では遅いもです。
今の家を長く、安全に住み続けるために、一度“家の健康診断”を受けてみてはいかがでしょうか?




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