スレート屋根は塗装でいい?葺き替えが必要?石綿(アスベスト)含有建材の見分け方と対処法を解説!

建物

「そろそろ屋根の塗装をした方がいいのかな…でも昔のスレート瓦ってアスベストが使われてるって聞いたし、不安…」

屋根リフォームの相談で近年よく耳にするのが、「スレート瓦のメンテナンス」と「石綿(アスベスト)の有無」に関するお悩みです。
特に築20年以上の住宅では、石綿を含んだスレートが使われているケースも少なくありません。

今回は、塗装か葺き替えかを判断するためのポイントを、リフォーム業界で長年の経験を積んだ筆者が、わかりやすく解説します。

スレート瓦とは?特徴とメンテナンスの目安

スレート瓦とは、セメントに繊維を混ぜて薄い板状に成形した屋根材です。軽量で施工しやすく、価格も比較的安価なことから、住宅用屋根材として現在も多く使われています。

特に「カラーベスト」や「コロニアル」と呼ばれる製品名でご存じの方も多いかもしれません。

一般的な耐用年数は約20〜30年。
表面の塗装が劣化していくと、苔の発生やひび割れ、凍害などによって破損し、飛散の可能性が出てきます。
ただし、下地の防水施工がしっかりされていれば、すぐに雨漏りする可能性は少ない場合もあります。


石綿(アスベスト)含有建材のメンテナンス

2004年以前に施工されたスレート屋根は、アスベスト(石綿)を含んでいる可能性があります。
見た目だけで判断するのは、プロでも非常に困難です。

築年数や屋根の傷み具合、調査時の歩行感などから推測することは可能です。
石綿の使用が禁止された直後、各メーカーが製作した代替建材は性能面で十分でないことが多く、脆い傾向がありました。

石綿が使われていた当時は、「魔法の鉱物」と呼ばれるほど施工性・耐火性・耐久性に優れ、さまざまな建材に使用されていました。
そのため、代替品ではすぐに同等の性能を出すことが難しく、2000年代前半の建材は劣化しやすいケースがあります。

よって、ひび割れが多い・下地が劣化して歩行できないような屋根は、年数的に石綿を含んでいない可能性が高いとも言えます。

最近のスレート瓦や外壁サイディング材は改善されいるのでご心配なく。


塗装で対応できるのはどんな状態?

塗装で対応できるのは、ひび割れや欠損が少ない場合です。

2025年現在では、メンテナンス時期を考えると、アスベストを含んだ建材の方が耐久性に優れているケースもあります。

ただし、屋根の塗装は材料選びを誤ると5〜10年で剥がれてしまう可能性があります。
足場を組むだけでも数十万円かかるため、外壁や軒天井などを含めた長期的なメンテナンスサイクルで計画することが重要です。

なお、石綿含有建材も、固形である限りは飛散しないため、人体への影響は基本的にありません。
「アスベストだから怖い」というイメージはありますが、適切に管理されていれば過剰に心配する必要はありません。


塗装NG!葺き替えを検討すべきケース

次のような状態では、塗装では対応できません。

  • 反り返りや剥離が多い
  • ひび割れが広範囲に見られる
  • 素材自体が劣化している

特に、2000年初期の石綿代替品で作られた建材はこの傾向が強く、塗装しても費用対効果が期待できません。

その場合は、葺き替えか、費用を抑えたカバー工法での施工がおすすめです。
無理に塗装を行うと、作業中の歩行によりさらに剥離が進むこともあります。


アスベスト含有建材の処分はどうなる?

アスベストを含むスレート瓦は、産業廃棄物として適正に処理する義務があります。

撤去の際には、以下のような対応が必要です。

  • 専門資格を持った業者による作業
  • 粉じんの飛散防止措置(湿潤化、密閉梱包など)

これらの対応が義務付けられているため、通常の解体よりも費用が高くなる傾向があります。

昭和後期から平成初期にかけて建てられた住宅の多くが、現在メンテナンス時期を迎えており、国もアスベスト処理のルールを厳しく定めています。

アスベスト処理の責任は建物の所有者に及ぶため、契約時には必ず説明を受け、必要書類を取り交わしておくことが重要です。
業者からアスベスト調査や処理に関する説明がない場合は、慎重に対応しましょう。


まとめ:塗装か葺き替えかの判断は専門家と一緒に

スレート屋根のメンテナンスは、築年数・劣化状況・これからの住まい方によって最適な方法が異なります。

自己判断は避け、必ず信頼できる専門業者に点検を依頼し、安全で適切な対応を選択しましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました