中古物件の見分け方 建物調査編

建物

いざ建物を購入するとなると、

「この家、ちゃんと建ってるの?」
「どんなところを見たらいいの?」

と悩む方も多いのではないでしょうか。

今回は、某大手リフォームメーカーで全国1位の実績を持つ元エリアマネージャーが、

建物調査のポイントをわかりやすく解説します。

少しでも皆さんの家づくり・住まい選びの参考になれば幸いです


建物はどこを見たらいいの?

今後、少子高齢化の影響で住宅ストックはますます増加していく傾向にあります。
新築を建てるより中古物件を検討する方も増えてくるでしょう。

今回は、これまで多くの建物調査を行ってきた中で気づいた重要なポイントをまとめました。
不動産価値の観点ではなく、建物そのものに問題がないかという視点で解説します。

もちろん住むにあたっては、学区・通勤距離・駅近といった条件が重要視されますが、今回はそれを横に置き、建物目線でお話しします。

日本では、木造住宅は一般的に20年で減価償却され、資産価値がゼロとされます。
しかし、2000年以降の新・新耐震基準を満たした建物は、全倒壊のリスクが大幅に低減しており、十分長く住むことが可能です。

価格面でも新築より手頃なので、選択肢としては魅力的ですが、注意ポイントとメリット・デメリットをしっかり理解する必要があります。


地盤・外回りについて

まずは、建っている地域や地盤、擁壁について。

いくら建物がしっかりしていても、地盤が安定していなければ地震時の揺れが増大します。
過去の大地震でも地盤の影響による倒壊事例が多く、液状化もその一例です。
同じ地域でも、山側のしっかりした地盤に建っている家では揺れが小さいことがあります。

役所のハザードマップやネットでその地域の情報を確認できます。
ただし、正確に調べるには地盤調査が必要ですので、気になる場合は業者に相談するのがおすすめです。

擁壁については、私個人の見解ですが、擁壁のある家はあまりおすすめしません。
盛土・切土・安息角(地面が崩れない角度)といった専門知識が必要で、一般の判断が難しく、また水路近くの家は沈下のリスクが高いです。
さらに、擁壁の耐久年数や工事費用は高額で、将来的な負担になる可能性があります。

もちろん、確認申請をきちんと取り、地盤改良・柱状改良などを行っていれば安心ですが、経年劣化による地盤と建物の高低差には注意が必要です。

※外壁・屋根周りについては別の記事で解説していますので、そちらをご覧ください。
施工費が最もかかる部分ですので、メンテナンスで済むかどうかの確認は非常に重要です。
不動産営業担当者の「大丈夫ですよ!」という言葉は、鵜呑みにしない方が良いでしょう。


役所でわかること

役所の建築指導課では、その建物の概要書を取得できます。
これにより、当時の申請がされ、役所のチェックが完了しているか確認できます。
購入前には必ず確認してもらいましょう。

確認申請だけ出して確認済証がない家も多く、そうした場合は耐震診断の実施をおすすめします。
中間検査を終えている場合は、構造面の確認がされているので安心材料になります。

可能なら、2000年以降の新・新耐震基準の建物を選ぶのがベターです。
2000年以前のハウスメーカーの家も、独自基準で取り組んでいる場合があり、一般住宅よりリスクは低いといえます。

また、不動産として地域地区・道路課の接道条件・地域指定なども必ず確認してください。
場合によっては建て替えに制約があることがあります。


天井裏・床下の重要性

床下・屋根裏は、その家の“語り部”です。

もちろん瑕疵担保責任により、重要な過失は保証されますが、やはり事前に確認することを強くおすすめします。見えないところをしっかり施工しているかでその建物を建てた職人・工務店の意識が確認出来ます。

床下の清掃状況、換気、シロアリ、雨漏り、水漏れ、沈下の痕跡。
屋根裏では、金物施工の有無、雨染み、断熱材の敷き方、材料の質、施工方法など。

基本的に調査は非破壊で進めます。
多くの点を集めて線にし、立体的な仮説を立てる作業になるので、床下・屋根裏は非常に重要な調査ポイントです。
気になるところは遠慮せず確認してもらいましょう。


メリット・デメリット

中古住宅のメリットは価格、デメリットは内装や間取りを自由に選べない点です。

内容次第では間取り変更も可能ですが、そうすると価格メリットが薄れていきます。
お化粧直し程度のクロスや水回りの交換は比較的安価ですが、断熱性能向上などの性能アップには多くの費用がかかります。

最近の住宅は高気密・高断熱が主流で、環境や健康の面からも重要です。
中古住宅ではこの部分が劣ることが多いため、どこまで手を入れるか、何を重視するかをよく考える必要があります。


まとめ

✅ 建物立地条件を確認
✅ 役所で適切な建築確認がされているかチェック
✅ 見えない部分(床下・屋根裏)で施工品質を確認
✅ 価格と仕様・性能向上のバランスを見極め、納得のいく住まいづくりを!


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