親との同居を考えているけれど、「実家を二世帯リフォームするのはありなのか?」と悩む方は多いのではないでしょうか。
また、
「二世帯リフォームをしている人はどんな人?」
「建て替えと比べてどちらが得なの?」
「注意点はあるの?」
といった疑問を持つ方も少なくありません。
いざ同居を考えたとき、
「古い実家でもリフォームで二世帯住宅にできるのか?」
「お金をかけるなら新築の方がいいのでは?」
など、費用や住み方について不安になるものです。
長年、大規模リフォーム業界で多くの住宅再生に関わってきた筆者が、どんな家族が実家の二世帯リフォームを選んでいるのか、どんな悩みをきっかけにリフォームしているのかを分かりやすく解説します。
この記事では、実家を二世帯リフォームする人の特徴や、建て替えとの違い、リフォームのメリット・デメリット、どんな人に向いているのかを解説します。

strato
大手ハウスメーカー リフォーム部
元エリアマネージャー
エリア実績 全国No1獲得
現在は独立してブログで住まいの情報発信中
建築業界25年の知識を発信します。
すでに持ち家である実家がある場合、費用面ではリフォームの方が有利になるケースが多いのも事実です。
また、両親との関係性や生活スタイルによって、完全分離型がよいのか、部分共有型がよいのかなど、住まい方の考え方も変わってきます。
実家を二世帯リフォームする人はどんな人?

親の介護や将来を考えて同居、今の住まいにスペースを造る
子どもの独立や、子育ての手間がかかる時期を過ぎた頃に、親の体調の変化や片親との死別などをきっかけに同居を検討されるケースがあります。
その際、お子さんの住まいに親が住む部屋やスペースをリフォームしたり、増築したりして同居するという形です。
まだ施設に入るには早いものの、遠くに住んでいると何かあった時に心配という理由から、相談に来られる方も少なくありません。
こうした背景から、現在の住まいに親世帯のスペースを設けて同居計画を進めるケースが多く見られます。

10年前後と割り切って、価格を抑える選択をされています。
子育てサポートを期待して同居するケース【独身女性の同居が多い!?】
意外と多いのが、離婚をきっかけに実家へ戻るケースです。
最近では離婚も珍しいことではなくなり、働きながら子育てを続けるのは想像以上に大変です。
そのため、離婚を機に実家を二世帯住宅へリフォームして同居することを検討される方も多かったです。
また、結婚しないことを決めて、相続を見据えて実家に住み続ける選択をされる方も増えていました。
特に女性の場合、看護師などの専門職の方が多い印象でした。
キャリアを大切にしながら、将来の介護や生活コストも考えて、実家での同居という選択肢を検討されているケースもあります。

女性の方がリアルな将来を考えて行動していました。
実家を活用して住宅費を節約したい|建物状態でコストは変わる
実家を活用して住宅費を抑えたいという理由で、二世帯リフォームを検討される方も多くいます。
例えば、
- もともと親世代の時点で二世帯住宅だった
- 建物や敷地が広く、水回り設備を新設すれば住める
- 親が商売をしていて、1階部分を住居に変更できる
といったケースです。
このように、建物や敷地条件が整っている場合は比較的少ない費用で二世帯住宅にできる可能性があります。
本家など親の期待で実家をリフォーム|古民家再生で同居するケース
地方や田舎のエリアでは、本家を守るという考えから実家をリフォームして同居するケースも見られます。
親の代が受け継いできた家を、自分の代で途絶えさせたくないという思いから、
- 本家をリフォームして住み続ける
- 敷地内に新たに住宅を増築する
といった選択をされる方もいます。
また、この場合は実家を解体してハウスメーカーで新築住宅を建てるケースも少なくありません。
詳しい事情までは聞けないことも多いですが、実際には親からの資金援助があり、新築という選択をされているケースも多い印象です。

古民家再生をキッカケに同居される方は多いです。
実家を二世帯リフォームするメリット

建て替えより費用を節約できる可能性が高い
最近では新築住宅の価格高騰が激しく、ハウスメーカーで新築を建てようと思うと4,000万円以上が当たり前になってきています。
完全分離型の二世帯住宅ともなると、単純に倍と考えてもよく、8,000万円以上になるケースも珍しくありません。
親からの援助があったとしても、なかなか大きな負担になる価格帯です。
その点、リフォームのメリットは、極論として今すでに住めている家があるということです。
つまり、何もしなくても住み続けることは可能です。
そこから、
どこまで快適性や利便性を高めるのか、
どこに費用をかけて効果を得るのか、
予算に合わせて調整できる点がリフォームの大きな特徴です。
ただし、工事金額が大きくなると、100万〜200万円の差が安く感じてしまうこともあります。
この点は、冷静に判断することが大切です。

この感情を利用して巧みに高額内容に誘導さてがちです。
土地購入の新しく探す必要がない
建物価格だけで8,000万円以上、その上に土地代が加わると、住宅ローンを含めてかなり高いハードルになります。
一方、実家を活用する場合は土地購入の必要がありません。
また、現在の土地が
- 駅に近い
- 利便性が高い
- 長く住み慣れた地域
といった条件であれば、新たに同じ条件の土地を探すことは簡単ではありません。
そのため、立地のメリットも含めて実家リフォームを検討する価値があります。
住宅ローンの負担を抑えられる【生活費の大半は住居費がしめる】
生活費の中でも大きな割合を占めるのが住居費です。
極端な言い方をすると、
「住居費を制するものが家計を制する」
と言えるほどインパクトがあります。
「実家暮らしの頃が一番お金に余裕があった」
と感じる方も多いのではないでしょうか。
賃貸や住宅ローンを支払っている方であれば、共感できる部分だと思います。
実家を活用した二世帯リフォームであれば、新築よりもローン負担を抑えられる可能性が高い点は大きなメリットです。

住居費で生活が苦しくては、本末転倒です。
親世帯と子世帯で生活を支え合える
もちろん、ここは両親との関係性にもよりますが、
子どもの送り迎えや、帰宅したときに迎えてくれる人がいる安心感はプライスレスな価値があります。
私の経験では、奥様のご両親と同居されるケースでは比較的気兼ねが少なく、娘さんが親御さんに遠慮なく意見を言う場面も多く見られました。
良くも悪くも、賑やかで楽しい打ち合わせになることが多かった印象です。
一方で、ご主人のご両親との同居の場合は、仲が良くてもプライベートとの距離感を上手に保つことが重要になります。
そのため、間取りの設計や生活動線などを工夫し、適度な距離感を保てるようにする打ち合わせのサポートが必要になることもあります。
第三者の営業が間に入って調整することで、家族間のバランスが取りやすくなり、計画がスムーズに進むことも多いと感じています。
二世帯リフォームのデメリット

生活音やプライバシーの問題
生活リズムや家庭環境の違いによって、どうしても音やプライバシーの考え方に差が出てくることがあります。
二世帯住宅では、若い夫婦世帯が2階に住むパターンが非常に多く見られます。
そのため、足音や生活音の問題は、プラン計画の段階でしっかり考えておく必要があります。
例えば、
- 床の防音対策
- 水回りの配置
- 寝室の位置
などを工夫することで、生活音のストレスを大きく減らすことができます。
床の防音対策については、良質な賃貸住宅レベルの遮音性能を目指して計画しておきたいところです。
間取り制限がある 【自由度か価格かの選択】
既存の建物の枠内にプランを収める場合、費用を抑えやすいというメリットがあります。
一方で、新築住宅と比べると間取りの自由度が限られるという点はデメリットになります。
つまり、
二世帯リフォームで費用を抑えるメリットと
新築住宅の自由度の高さ
このバランスが大きな検討ポイントになります。
ただし、この部分は設計や提案をする業者の腕によるところも大きいです。
まずは複数のプラン提案を受けてみると、
「そんな考え方があるんだ」と感じる提案が出てくることも意外と多いものです。
相続問題が発生する可能性【計画時の話し合いが大切】
兄弟や姉妹がいる場合は、事前に家族で相談しておくことが重要です。
築年数が経った木造住宅の場合、生前贈与をしても建物の評価額はかなり下がっていることが多く、大きな金額にならないケースが多いです。
しかし、土地については減価償却の考え方がないため、資産価値が残る場合が多いです。
そのため、
- 将来どのように分割するのか
- 現金で精算できるのか
などを事前に考えておかないと、後になって家族間でトラブルになる可能性があります。
二世帯リフォームを進める前に、相続についても一度整理しておくことが大切です。
築年数によっては大規模改修が必要
建物の築年数によっては、構造補強や性能改修が必要になる場合があります。
この点については別の記事でも詳しく解説していますので、そちらも参考にしてください。
私の考えでは、1982年以降に建てられた建物かどうかが一つの大きなポイントになります。
それ以前の住宅の場合は、耐震性能や建物の状態をしっかり確認したうえで、リフォーム計画を立てる必要があります。
また、古民家などの伝統工法の住宅については、一般的な住宅とは違った考え方で再生するケースもあります。
その場合は、古民家再生の記事を参考読んでみて下さい。
関連記事
二世帯リフォームは本当に節約になるのか

リフォームを安く済ませるポイントはシンプルで、改修する範囲が少なければ少ないほど費用は抑えられます。
当たり前のことですが、ここが費用の大きな分かれ目になります。
例えば次のようなポイントによって、リフォーム費用は大きく変わります。
- 建物の定期メンテナンスは十分に行われているか
- 大規模な構造補強が必要な間取り変更なのか
- 水回り設備などをどこまで共有できるか
このように様々な条件があるため一概には言えませんが、フルリフォームを行ったとしても新築費用を超えるケースは多くありません。
むしろ、同じ金額をかけるのであれば、新築よりもグレードの高い設備を選べることもあるのがリフォームの特徴です。
二世帯住宅の種類(後悔しない選び方)
二世帯リフォームでは、
完全分離型・部分共有型・完全同居型の3つのパターンによって、設備費用が大きく変わります。
特に、キッチン・お風呂・玄関などの水回り設備をどこまで分けるかが費用の大きなポイントになります。
完全同居型【価格重視】
部屋だけを個別に分け、水回り設備や玄関などはすべて共有するタイプです。
この方式は、
- 親の介護をきっかけに同居するケース
- 独身の子どもが実家で住み続けるケース
- 離婚して実家に戻られるケース
などでよく選ばれる同居スタイルです。
設備を共有するため、二世帯リフォームの中では比較的費用を抑えやすい方法です。
部分共有型【一番多いパターン】
LDKは別々に計画し、お風呂は共有する、
またはお風呂は別でLDKは共有するなど、一部の設備を共有するパターンです。
設備の数を調整することで、費用を抑えながらプライバシーも確保できるのが特徴です。
リフォームではこのタイプが最も多く選ばれている二世帯スタイルです。
費用と生活のバランスを取りたい場合には、非常におすすめの方法と言えます。
完全分離型【プライバシー重視】
建物の中で完全に生活空間を分けてしまうタイプです。
イメージとしては、賃貸のハイツやアパートのような構造を想像すると分かりやすいでしょう。
ただし、二世帯住宅として計画する場合は、建物内部でどこか一部分を行き来できるようにしておかないと、法律上の扱いが厳しくなることがあります。
その結果、別住宅扱いとなり、追加費用や規制が発生するケースもあります。
そのため、
- 収納スペース
- シューズクローク
- 内部通路
などを設けて、建物内で行き来できる設計にする工夫がよく行われます。
この方法であれば、プライバシーを保ちながら二世帯住宅として計画することが可能になります。
実家を二世帯リフォームする前に確認するポイント
実家を二世帯リフォームする場合、家の構造や築年数によって出来ること・出来ないことがあります。
特に古い住宅の場合は、
- 耐震性能
- 断熱性能
が現在の基準に比べて低いことが多く、そのままでは快適に住めないケースもあります。
また、水回り設備を新設する場合には、
- 給排水の経路
- 給湯設備の設置場所
- 電気や水道メーターを分離するかどうか
など、設備計画によって費用が大きく変わるポイントも出てきます。
こうした内容は現地調査の段階でしっかり確認し、業者に相談しておくことが重要です。
外部排水については、別の記事でも詳しく解説していますので、そちらも参考にしてください。
また、断熱性能や耐震性能についても関連記事で解説しています。
二世帯リフォームでは、費用面のメリットと家族それぞれのこだわりのバランスをしっかり話し合うことが大切です。
価格を抑えるためには、ある程度の手間や工夫が必要になります。
また、住宅は人生の中でも大きな買い物になるため、金額の単位が大きくなり、判断が甘くなりがちです。
そのため、家族で細かい部分まで話し合いながら、計画を進めていくことをおすすめします。
住居費を制するものが、生活出費を制する。
これは住まいづくりにおいて、とても重要な考え方です。
関連記事
二世帯リフォームが向いている人
実家の建物状態が比較的良好で、建物面積が40坪前後ある住宅であれば、二世帯リフォームのプランの幅は広がります。
もちろん、完全同居型の場合であれば、
個人の部屋と収納スペースとして約4坪程度を追加するだけでも同居は可能です。
また、
- 今ある土地を活用して将来の出費を抑えたい
- 人生の中でも大きな出費となる住居費をできるだけ抑えたい
- 親族で何軒も住宅を所有すると将来的な管理が大変
といった場合には、二世帯リフォームは有力な選択肢になります。
実際に検討する際には、二世帯リフォームの概算見積もりを3社ほど依頼してみると、費用感やプランのイメージが具体的に見えてきます。
比較してみることで、リフォームの可能性や現実的な計画がよりはっきりしてくるでしょう。
まとめ|実家を活用できるなら二世帯リフォームは有力な選択肢
実家を二世帯リフォームするか、新築で建て替えるかは、多くの方が悩むポイントです。
実家の建物状態や家族の生活スタイルにもよりますが、すでに土地や建物がある場合は、リフォームの方が費用を抑えられるケースが多いのも事実です。
特に、
- 土地購入の必要がない
- 住宅ローンの負担を抑えやすい
- 親世帯と子世帯で生活を支え合える
といった点は、二世帯リフォームの大きなメリットと言えるでしょう。
一方で、
- 生活音やプライバシーの問題
- 間取りの制限
- 相続問題
- 建物の築年数による性能の違い
など、事前に確認しておくべきポイントもあります。
二世帯リフォームを成功させるためには、建物の状態をしっかり確認し、家族間で生活スタイルや費用についてよく話し合うことが重要です。
また、同じ二世帯リフォームでも
完全同居型・部分共有型・完全分離型など、住み方によって費用や快適性は大きく変わります。
そのため、まずは複数のリフォーム会社に相談し、概算見積もりやプラン提案を比較してみることをおすすめします。
実家という大切な資産を活用しながら、家族それぞれが無理なく暮らせる住まいづくりを検討してみてください。




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