「親と同居を考えているけれど、実家を二世帯リフォームするのはありなのか?」
「建て替えと比べてどちらが得なの?費用はいくらかかる?」
いざ同居を考えたとき、こんな疑問や不安が次々と浮かんでくる方は多いはずです。
実家を二世帯リフォームする理由は人それぞれです。介護・子育てサポート・相続対策・住宅費の節約など、きっかけも目的もさまざま。だからこそ、「自分の家族にとってどの選択が正解なのか」がわかりにくいのです。
この記事では、建築業界25年・大手ハウスメーカーのリフォーム部門でエリアマネージャーを務めた筆者が、どんな人が二世帯リフォームを選んでいるのかという独自の視点を軸に、タイプ別の費用相場・補助金・後悔しないための注意点まで、すべてわかりやすく解説します。
■この記事でわかること
- 二世帯リフォームを選ぶ人の6つのパターン
- リフォームか建て替えか?判断のポイント
- 完全分離・部分共有・完全同居タイプ別の費用相場
- メリット・デメリットの対比
- 使える補助金・減税制度まとめ
- 後悔しないための注意点3つ
すでに持ち家である実家がある場合、費用面ではリフォームの方が有利になるケースが多いのも事実です。
また、両親との関係性や生活スタイルによって、完全分離型がよいのか、部分共有型がよいのかなど、住まい方の考え方も変わってきます。

strato
大手ハウスメーカー リフォーム部
元エリアマネージャー
エリア実績 全国No1獲得
現在は独立してブログで住まいの情報発信中
建築業界25年の知識を発信します。
二世帯リフォームは本当に節約になるのか

リフォームを安く済ませるポイントはシンプルで、改修する範囲が少なければ少ないほど費用は抑えられます。当たり前のことですが、ここが費用の大きな分かれ目になります。
例えば次のようなポイントによって、リフォーム費用は大きく変わります。
- 建物の定期メンテナンスは十分に行われているか
- 大規模な構造補強が必要な間取り変更なのか
- 水回り設備などをどこまで共有できるか
このように様々な条件があるため一概には言えませんが、フルリフォームを行ったとしても新築費用を超えるケースは多くありません。むしろ、同じ金額をかけるのであれば、新築よりもグレードの高い設備を選べることもあるのがリフォームの特徴です。
二世帯リフォームを選ぶ人の6つのパターン

長年、多くの二世帯リフォームに関わってきた経験から言うと、同居を決断するきっかけにはいくつかの典型的なパターンがあります。「うちはどれに当てはまるか」を確認しながら読んでみてください。
パターン① 親の介護・見守りを考えて同居する
子どもの独立や、子育てが一段落した頃に、親の体調の変化や片親との死別をきっかけに同居を検討されるケースです。
「まだ施設に入るには早いが、遠くに住んでいると何かあったときに不安」という理由が多く、現在の住まいに親世帯のスペースを設けて同居計画を進めるパターンが中心です。
このケースでは「10〜15年を想定した現実的なリフォーム」を選ぶ傾向があります。大きな費用をかけず、生活に必要な最低限の改修で済ませることを重視されています。
パターン② 子育てサポートを期待して同居する【独身女性の同居は多い】
特に多いのが、離婚をきっかけに実家へ戻るケースです。
働きながら子育てを続けることは想像以上に大変で、「親と一緒に住んでサポートしてもらいたい」という現実的な判断から二世帯リフォームに踏み切る方が非常に多いです。
共働き夫婦が子育て支援目的で同居するケースも増加しており、この場合はプライバシーを確保しながら生活動線を共有できる「部分共有型」を選ぶことが多いです。

女性の方がリアルな将来を考えて行動していました。
パターン③ 相続・空き家対策として同居する
実家を誰も住まない空き家にしたくない、という思いから二世帯リフォームを選ぶケースです。
空き家は管理費・固定資産税・劣化リスクが発生し続けるため、子世帯が住み続ける形でリフォームする方が長期的にメリットが大きいと判断されます。
ただし、兄弟姉妹がいる場合は事前に相続について家族で話し合っておくことが必須です。リフォーム後に「誰が費用を負担したのか」「将来の土地はどう分けるのか」でトラブルになるケースが後を絶ちません。
▶関連記事:相続した家はどうする?住む・売る・リフォームの判断基準|木造・鉄骨・RC造別に解説
パターン④ 好立地の土地・資産を活かしたい
駅近・学校区が良い・住み慣れた環境など、実家の立地に価値がある場合、土地を手放さずに二世帯リフォームで活かす選択は非常に合理的です。
土地は減価償却がないため資産価値が残りやすく、将来の売却・賃貸活用の選択肢も残せます。
このケースでは建て替えとの費用比較をしっかり行い、同じ予算なら二世帯リフォームの方がグレードの高い設備を選べるというリフォームのメリットを最大限に活かすことが重要です。
パターン⑤ 子世帯の住宅費用を抑えたい
新築・マンション購入の代替として実家の二世帯リフォームを選ぶ、若い夫婦主導のケースも増えています。土地代・建物代を一から用意する必要がなく、総費用を大幅に抑えられる点が最大の魅力です。
「親への仕送り代わり」「将来の住宅費負担の軽減」という長期的な視点から選ぶ家族も多く、このケースでは完全分離型で将来の賃貸活用まで視野に入れた設計をするのがおすすめです。
パターン⑥ 本家など親の期待で実家をリフォーム|古民家再生で同居するケース
地方や田舎のエリアでは、本家を守るという考えから実家をリフォームして同居するケースも見られます。
親の代が受け継いできた家を、自分の代で途絶えさせたくないという思いから、
- 本家をリフォームして住み続ける
- 敷地内に新たに住宅を増築する
といった選択をされる方もいます。
また、この場合は実家を解体してハウスメーカーで新築住宅を建てるケースも少なくありません。
詳しい事情までは聞けないことも多いですが、実際には親からの資金援助があり、新築という選択をされているケースも多い印象です。

古民家再生をキッカケに同居される方は多いです。
▶関連記事:築100年の古民家、リフォーム・リノベーションってアリ?
リフォームか建て替えか?まず確認すべき3つのポイント
実家の状態によっては、リフォームより建て替えの方が長期的にお得なケースもあります。以下の3点を確認することが判断の出発点です。
- 築年数が1982年(昭和57年)以降か:新耐震基準の建物はリフォームで対応できる可能性が高い。それ以前は耐震診断が先決
- 構造に大きな問題がないか:基礎のひび割れ・シロアリ被害・雨漏りがある場合は追加補修費が膨らむリスクがある
- 15年以上住み続ける予定か:居住期間が短い場合はリフォーム投資が回収しにくい。最低限の改修で様子を見る選択肢も
▶関連記事:古い家は地震で本当に危ない?危険な家の見極め方と耐震補強が効く条件
二世帯リフォーム3タイプと費用相場
二世帯リフォームでは、どこまで設備を分けるかによって費用が大きく変わります。3つのタイプと費用相場を確認しておきましょう。
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| タイプ | 概要 | 費用相場 | 向いている家族 |
|---|---|---|---|
| 完全分離型 | 玄関・キッチン・浴室・トイレをすべて別々に設置 | 1,500万〜3,500万円 | プライバシー重視/将来の賃貸・売却も視野に入れたい |
| 部分共有型 | 玄関や浴室など一部を共有し、その他は別々 | 1,500万〜2,500万円 | 適度な距離感を保ちたい/予算を抑えたい |
| 完全同居型 | ほぼ全空間を共有し、個室のみ分ける | 300万〜800万円 | 介護が主目的/費用を最優先で抑えたい |
費用を抑えたいなら水回り設備(キッチン・浴室・トイレ)の共有範囲を広げることが最大のポイントです。特にキッチンと浴室の増設は費用が大きくなるため、「どこまで共有できるか」を家族でよく話し合ってから設計に入りましょう。
費用の幅が広がるのは、建物性能をどこまで向上させるかです。性能を向上させるには内部解体範囲が広がり、解体+下地工事+仕上げ工事になります。解体+下地工事金額の差で費用は大きく変わります。
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完全同居型【価格重視】
部屋だけを個別に分け、水回り設備や玄関などはすべて共有するタイプです。
この方式は、
- 親の介護をきっかけに同居するケース
- 独身の子どもが実家で住み続けるケース
- 離婚して実家に戻られるケース
などでよく選ばれる同居スタイルです。設備を共有するため、二世帯リフォームの中では比較的費用を抑えやすい方法です。
部分共有型【一番多いパターン】
LDKは別々に計画し、お風呂は共有する、またはお風呂は別でLDKは共有するなど、一部の設備を共有するパターンです。
設備の数を調整することで、費用を抑えながらプライバシーも確保できるのが特徴です。
リフォームではこのタイプが最も多く選ばれている二世帯スタイルです。費用と生活のバランスを取りたい場合には、非常におすすめの方法と言えます。
完全分離型【プライバシー重視】
建物の中で完全に生活空間を分けてしまうタイプです。
イメージとしては、賃貸のハイツやアパートのような構造を想像すると分かりやすいでしょう。
ただし、二世帯住宅として計画する場合は、建物内部でどこか一部分を行き来できるようにしておかないと、法律上の扱いが厳しくなることがあります。
その結果、別住宅扱いとなり、追加費用や規制が発生するケースもあります。
そのため、
- 収納スペース
- シューズクローク
- 内部通路
などを設けて、建物内で行き来できる設計にする工夫がよく行われます。この方法であれば、プライバシーを保ちながら二世帯住宅として計画することが可能になります。
メリット・デメリットの対比
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| 観点 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| 費用 | 建て替えより1,000万〜2,000万円安くなるケースが多い。補助金も活用しやすい | 構造問題が発覚すると追加費用が膨らむリスクがある |
| 生活 | 子育て・介護のサポートを得やすい。光熱費・食費の節約効果も | 生活リズムの違いがストレスに。プライバシー確保の設計が重要 |
| 資産 | 土地・建物を活かせる。空き家リスクを防げる | 相続時に兄弟間でトラブルになるケースがある |
| 自由度 | 段階的に工事できる。予算に応じて調整しやすい | 構造上、間取り変更に制約が出る場合がある |
| 将来性 | 完全分離型なら将来の賃貸・売却活用も可能 | 同居解消後の活用プランを事前に考えておく必要がある |
最近では新築住宅の価格高騰が激しく、ハウスメーカーで新築を建てようと思うと4,000万円以上が当たり前になってきています。完全分離型の二世帯住宅ともなると、単純に倍と考えてもよく、8,000万円近くになるケースも珍しくありません。
住宅ローンの負担を抑えられる【生活費の大半は住居費がしめる】
生活費の中でも大きな割合を占めるのが住居費です。
極端な言い方をすると、「住居費を制するものが家計を制する」と言えるほどインパクトがあります。「実家暮らしの頃が一番お金に余裕があった」と感じる方も多いのではないでしょうか。
賃貸や住宅ローンを支払っている方であれば、共感できる部分だと思います。
実家を活用した二世帯リフォームであれば、新築よりもローン負担を抑えられる可能性が高い点は大きなメリットです。
使える補助金・減税制度まとめ

二世帯リフォームでは、複数の公的支援を組み合わせることで実質負担を大幅に下げられます。工事内容に合わせて確認しておきましょう。
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| 制度名 | 対象工事 | 補助額の目安 |
|---|---|---|
| 子育てエコホーム支援事業 | 省エネ改修(断熱・窓・設備) | 最大30万〜60万円 |
| 長期優良住宅化リフォーム補助金 | 耐震・省エネ・劣化対策の複合改修 | 最大80万〜210万円/戸 |
| 耐震改修促進補助金(市区町村) | 耐震診断・耐震補強工事 | 診断無料〜工事費の2/3補助(上限あり) |
| 住宅ローン減税(リフォーム版) | 耐震・バリアフリー・省エネ改修など | 年末ローン残高の0.7%(最大10年) |
| 同居対応リフォーム減税(投資型) | 二世帯同居のための間取り変更・設備設置 | 工事費の10%を所得税から控除 |
補助金は工事着工前の申請が条件のものが多く、先着枠が埋まると締め切られます。検討が固まったら早めにリフォーム会社や自治体窓口に相談することをおすすめします。
後悔しないための注意点3つ
注意点① 相続を事前に整理しておく
相談しておくことが重要です。
築年数が経った木造住宅の場合、生前贈与をしても建物の評価額はかなり下がっていることが多く、大きな金額にならないケースが多いです。
しかし、土地については減価償却の考え方がないため、資産価値が残る場合が多いです。
そのため、
などを事前に考えておかないと、後になって家族間でトラブルになる可能性があります。二世帯リフォームを進める前に、相続についても一度整理しておくことが大切です。
注意点② プライバシーの設計を最初に決める
「最初は完全同居で様子を見て、後から分離しよう」という考えは費用が膨らむ原因になります。
完全同居から完全分離へのリフォームは、設備を後付けする分だけコストがかさみます。どこまで共有するかは、同居開始前に家族全員で決めてから設計に入ることが重要です。
生活リズムや家庭環境の違いによって、どうしても音やプライバシーの考え方に差が出てくることがあります。
二世帯住宅では、若い夫婦世帯が2階に住むパターンが非常に多く見られます。そのため、足音や生活音の問題は、プラン計画の段階でしっかり考えておく必要があります。
例えば、
などを工夫することで、生活音のストレスを大きく減らすことができます。床の防音対策については、良質な賃貸住宅レベルの遮音性能を目指して計画しておきたいところです。
注意点③ 築年数と構造を必ず確認する
1982年(昭和57年)以前の建物は旧耐震基準で建てられているため、リフォーム前に耐震診断を受けることを強くおすすめします。
構造補強が必要な場合は費用が大幅に増加します。また、シロアリ被害・雨漏り・基礎のひび割れがある場合も、リフォーム前に必ず専門家に診てもらいましょう。
状態によっては建て替えの方が長期的にお得になるケースもあります。
また、水回り設備を新設する場合には、
など、設備計画によって費用が大きく変わるポイントも出てきます。
▶関連記事:外部給排水工事とは?費用相場・チェックポイント
二世帯リフォームが向いている人

実家の建物状態が比較的良好で、建物面積が40坪前後ある住宅であれば、二世帯リフォームのプランの幅は広がります。
もちろん、完全同居型の場合であれば、個人の部屋と収納スペースとして約4坪程度を追加するだけでも同居は可能です。
また、
- 今ある土地を活用して将来の出費を抑えたい
- 人生の中でも大きな出費となる住居費をできるだけ抑えたい
- 親族で何軒も住宅を所有すると将来的な管理が大変
といった場合には、二世帯リフォームは有力な選択肢になります。
実際に検討する際には、二世帯リフォームの概算見積もりを3社ほど依頼してみると、費用感やプランのイメージが具体的に見えてきます。
比較してみることで、リフォームの可能性や現実的な計画がよりはっきりしてくるでしょう。
よくある質問(FAQ)
- Q実家の二世帯リフォームにかかる費用の目安は?
- A
A. タイプによって大きく異なります。
完全同居型なら300万〜800万円、部分共有型なら1,500万〜2,500万円、完全分離型なら1,500万〜3,500万円が目安です(建物規模や状態によって変動)。構造の問題が発覚すると追加費用が発生するため、事前のホームインスペクション(住宅診断)で状態を確認しておくと安心です。
- Q完全分離型と部分共有型、どちらがおすすめですか?
- A
家族の関係性と予算次第です。
プライバシーを重視するなら完全分離型、費用を抑えながら適度な距離感を保ちたいなら部分共有型が向いています。将来的に賃貸・売却の可能性があるなら完全分離型を選ぶ方が資産活用の幅が広がります。
- Q古い実家でも二世帯リフォームはできますか?
- A
A. 可能ですが、1982年以前の建物は耐震診断を先に受けることをおすすめします。
耐震補強が必要な場合は費用が増えますが、補助金(耐震改修促進補助金)を活用することで負担を軽減できます。シロアリや雨漏りの有無も事前に確認することが重要です。
- Q二世帯リフォームで使える補助金はありますか?
- A
複数の補助金・減税制度が活用できます。
子育てエコホーム支援事業(最大60万円)、長期優良住宅化リフォーム補助金(最大210万円)、同居対応リフォーム減税(工事費の10%控除)などが代表的です。補助金は着工前の申請が条件のものが多いため、早めに確認しましょう。
- Q二世帯リフォームと新築建て替え、どちらが得ですか?
- A
一般的にはリフォームの方が1,000万〜1,500万円以上安くなるケースが多いです。
ただし建物の状態が悪い場合は追加費用が発生し、差が縮まることもあります。頭の中だけで比較せず、必ず両方の見積もりを取って総額で比較することをおすすめします。
まとめ|二世帯リフォームは「きっかけ」と「目的」から考える
実家の二世帯リフォームは、同居のきっかけと目的によって選ぶべきタイプも費用感もまったく変わります。
- 介護・見守りが目的なら:費用を抑えた部分共有型または完全同居型
- 子育てサポートが目的なら:生活動線を共有しながらプライバシーを確保できる部分共有型
- 資産・空き家対策が目的なら:将来の賃貸・売却も視野に入れた完全分離型
どのパターンにも共通して重要なのは、①相続の事前整理、②プライバシー設計の明確化、③築年数・構造の確認の3点です。
補助金を活用すれば実質負担をさらに下げることができます。検討が固まったら早めにリフォーム会社に相談し、実際の見積もりを取ることが後悔しない選択への第一歩です。




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